~雨が続きますが、祇園祭は開催されております~

しとしとと雨の降る京都の朝。
本日は、千年以上の歴史を持つ祇園祭の中でも、ひときわ華やかで重要な行事「山鉾巡行(前祭)」の日です。
  ※夜の祇園祭の様子
祇園祭の起源は、貞観11年(西暦869年)にさかのぼります。
当時、疫病が都中に広がり、人々が不安に包まれる中、八坂神社の御祭神である牛頭天王(ごずてんのう)に平安を願い、66本の鉾を立てて御霊を鎮める祈りを捧げたことが始まりとされています。
それ以来、京都の人々は時代を超えてこの祭りを受け継ぎ、今日まで守り続けてきました。

巡行当日はあいにくの雨となりましたが、濡れた道の上をゆっくりと進む鉾たちの姿は、晴天時とはまた違う風情と荘厳さをまとい、まるで神々の通り道のようでした。

  

※山鉾巡行の様子

先頭を行くのは「長刀鉾(なぎなたぼこ)」。鉾頭には、疫病退散の象徴ともいえる大きな長刀が掲げられています。
23基の山鉾は、四条通から河原町通、そして御池通へと順に進み、沿道には雨の中にもかかわらず多くの人々が傘をさし、思い思いの姿で祭りを楽しんでいました。

当社の事務所が面する御池通にも、観光客が集まり、祇園祭ならではの高揚感とともに、夏の訪れを感じることができました。

そんな特別な一日に合わせて、社長が事務所の玄関に用意してくださったのが、「菊水鉾(きくすいぼこ)」の粽(ちまき)です。
この菊水鉾には、ほかの鉾とは一味違った由来があります。

その名前は、町内に湧く名水「菊水の井」に由来しており、この水は千利休の師である武野紹鴎(たけの じょうおう)も愛したと伝えられています。
また、鉾の御神体である「枕慈童(まくらじどう)」は、菊の露を飲んで七百年の長寿を得たという中国の伝説に登場する少年で、長寿・健康・清浄の象徴とされています。

さらに、粽には「蘇民将来命(そみんしょうらいのみこと)」の伝承が込められています。
この神は、旅の途中で困っていた素戔嗚尊(すさのおのみこと)を親切に迎え入れたことで、のちに「疫病が流行ったときには茅の輪を腰に巻いた者を助けよう」と言われ、その故事により、茅(ちがや)で作られた粽が厄除けとして用いられるようになったのです。

現在でも、家の入口にこの粽を掛けると、悪疫を祓い、無病息災を授かるといわれています。
さらに、かつてこの町内では「えびす神」も祀られていたことから、今も夷社(えびすしゃ)が残されており、粽には「商売繁盛」のご利益もあると伝えられています。

このように、菊水鉾の粽には「健康」と「繁栄」という二つの願いが込められており、社長が私たち社員だけでなく、お客様や取引先の皆様、関わるすべての方々の無事と発展を祈って購入してくださったお気持ちが、ひしひしと伝わってまいります。

事務所の玄関に飾られた粽を目にするたびに、私たちはその想いを胸に刻み直し、気を引き締めて日々の業務にあたっています。

第6期もいよいよ終盤。
これまで支えてくださった皆さまへの感謝を忘れず、迎える第7期も、健康と安全を第一に、着実に、誠実に、一歩一歩前進してまいります。

雨に濡れながらも美しく進んでいく鉾のように、どんな時も揺るがず、しなやかに。
私たちもそんな存在を目指して、これからも挑戦を続けてまいります。
今後とも、変わらぬご支援とご厚情を、心よりお願い申し上げます。